昭和の記念写真

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昭和8年〜昭和35年
 
記念写真は、人が生きた瞬間を見せてくれる。

瞬間の1コマは必ず次の動きにつながっていて、止まったままでいたはずがない。
このあと、どんな風に動きだしたんだろう?
シャッターを切ったあと、笑顔で立ち上がったり、かぶりをふって笑いだすだろうか。
動いてばかりで叱られたり、どこに行こうかと相談したり、犬がぴょんと飛び降りたり。
写す前にもいろいろな動作があったろう。
なかなか整列しない子供を、忙しく指示してまわったろうか。
後ろからポンと乗せられた学生帽に思わず笑い出したりしただろうか。

1枚の写真を見るだけで、まるで小説のように、映画を見るように、
誰かの人生の一瞬が、今にもするりと動き出すように見えてくる。
人にとって自分こそが人生の中心だ。
たとえ親・子・妻・夫・恋人誰であっても、自分のかわりに主役に据える事はできない。
記念写真は自分を中心とした記録であり、本人がこの世を去ると同時に紙くずとなる。
ここに並べたのは、近しい故人の写真の中から、紙くずにせずに私が残した数枚。
残したといっても、膨大な写真の中からのほんの一握りだ。
よほどの映画スターや有名人、旧家名家でもない限り、記念写真はいずれ塵となる。
残されて次代の人に見てもらえる事などありえない、期限つきの写真だ。
 
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